川泉ポメ@映画感想日記

川泉ポメの日記。映画や本の感想を描く用のブログ

関心領域

宇多丸さんのラジオで面白そうだなーと思って見てきました。

このを映画見る人は”あの川”がどういう”川”か理解した上で見る人が
多数なので、見た人が”灰が…”って感想を抱いて
ピクニックを、川遊びをどう感じるかという感情を計算したうえで
あのシーンを入れてると思うんです

それはどういう意図…?
パンフ買ってない雑な映画ファンなので気になる…

 

サウルの息子
ゾンダーコマンドにライドしてホロコーストを被害者として
疑似体験する映画だとしたら

関心領域はヘス一家にライドしてホロコーストを加害者として
疑似体験する映画だと感じました。

映画といってもいわゆる起承転結があるタイプじゃなくて
ムービー・インスタレーション的なやつで。

加害者目線で起承転結ありでエモーショナルで感動的な映画って
危なすぎるので
このスタイルはなるべくして採用したのだと思います。

途中、小津安二郎の作品をモチーフにした構図が何度も
出てくるんですけど
こういったアートムービー寄りの作りで
なんの意図もなく入れたりはしないと思うのですが
どういう意図なんでしょう…?

私としては”東京物語のあの家族たちもこっち側だよ”とか
そういうことなのかなあ…と。
思ったりもするんですけど
でもそんなとってつけたような表現するかなあとか

他にも引用的な表現はあるんかなとか気になります。


あのシーンでカメラが映ってるとか
あのシーンで主人公が○○なのは…とか
さっき書いた小津構図もそうだけど

衒学的な表現が必要以上に多いなって感じました。


私の最終的な感想としては

むしろこの、衒学的な表現をするための
このテーマなのでは…?

疑念がちょっと残りました。

SNS-少女たちの10日間-

映画として売れたわけでもないけど
ネットでは有名な映画ですよね。

”12歳に見える”3人の成人済みの役者を使って
ネットの変態を釣り上げて
変態たちの生態をみなさんにお見せしまーす

ってテーマなんですけど

ネットをやってる人間は
多かれ少なかれみんな知ってるやつです。

まあ、それはいいんだけど


少女役を演じる役者さんを
十分に守らない制作陣がほんとやばくて

もっと演技者を守れ…ほんとにほんとに。


あと変態たちみんな同じ画角。


おっぱい見せてちんこ見てセックス好き?もうやったことある?
これしか聞かない。

あとチン凸。

性欲脅迫加害欲寂しい承認欲求脅迫好奇心性欲愛されたい性欲暇加害欲

このへんがむき出しでぐちゃぐちゃまぜこぜで
お出しされるので見終わったらすごく疲れちゃいました。

 

変態釣るために作ったフェイクとか

チン凸に傷つく少女たちとか

変態のみなさんにもたまんない映画じゃないですかね…

SNS-少女たちの10日間-(字幕版)

 

老ナルキソス

短編の時に配信で見てすごくよかったので、長編も見てきました

新・レオ君の昼職ぽさ、ふつうっぽさが生かされてて
ウリセンだけど普通の男の子みたいな夢を語ったりするシーンでは
彼の雰囲気がすごく際立ってよかった。

主人公役のの田村泰二郎さん前回と続投で
老いていい人でもなく、もはや美しくもなく、才能も枯れ
それでも諦められないものがたくさんある…
山崎の複雑な生き様が胸に熱かったです。

あとゲイバーのママさん役で日出郎さんが出てたんですが
”この役ならすっぴんでしょ”って言ってすっぴんていうか
薄化粧で出てらしたんですけど
華があって、謎の説得感があった…

じつは腐女子がゲイムービー楽しむのって
性的搾取なんじゃないかなあって疑念を抱きながら
見に行ったんですけど、そんな疑念が吹き飛ぶくらいの熱い作品でした…!

老ナルキソス感想イラスト



オタクが「成功したオタク」みてきた

文章は最初に結論を書くといいと聞いたので結論書く!


監督が10代の頃のアイドルファンだった自分の初めて推し活と、その最悪な終わりを描いています。

陰鬱な素材だと思うのに、監督の持ち味なのかちょっとコミカルでまじめでさわやかキラキラの青春感がありつつ、真摯に描いてて素晴らしい作品でした。

見て!

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オ・セヨン監督作品「成功したオタク」を渋谷のシアターイメージフォーラムで見てきました。


www.youtube.com

「成功したオタク」は韓国で起きたいわゆるバーニング・サン事件に関連して、不適切動画を女性の同意なく共有したチョン・ジュニョンの元ファンであるオ・セヨン監督の初監督作品です。
アイドルとは何か…推し活とは何か…性犯罪者になった推しを応援してた自分たちは加害者なのでは…?といったモヤモヤを追い取材し、言語化し、時に推し活仲間同士で慰めあい支えあう…そんな時間を2年の月日をかけて撮影したものです。


ここからぱらぱらと思いつくままに描きます。

私けっこうBIGBANG好きで…T.O.P.さんが好きです……

えーん😿

この「成功したオタク」では前述のチョン・ジュニョンのファンだけでなくBIGBANGのV.I.のファンも何名か出演して意見を語るのですが、その言葉が率直でびっくりしました。

この作品には基本的に性加害した推しを擁護する人は出てこないのですが、性加害した推しを非難する言葉が
「女性として女性にそんなことをした人間を許せない」「一生ムショから出てくるな!」
日本で顔出しのメディアでこれを言える人間は少ないなろうなって感じました。
これを顔出しで言ってる彼女たちは、オ・セヨン監督の友人で普通の学生さんや社会人。
言葉を選ばなければ「普通の女の子」たち。

私と同じく「推し」を愛する人/愛した人たち。

でも私と同じく「推し」を愛する人/愛した人たちであっても、私は顔出しでこれだけのこというの無理だなって感じました。

意見をいう彼女たちの言葉はどれも真摯で、社会的問題や政治的問題にも触れつつ、でも推しを応援してた過去の自分や楽しかった思い出、それを台無しにした推しについて率直に語る姿は韓国の女性はほんとしっかりしてるんだなって…。
韓国は日本よりも男尊女卑が強くて、それに対する反発が大きいことからフェミニズム運動が盛んでで、それに対する反発も大きく、日本から見える範囲でも結構モメてる感じに見えます。

そんな中で育ってきた女性たちがこんな風に自分の名前を顔を出して意見を言う!

素晴らしいことだけど、韓国で叩かれてたりしないかな…心配しちゃった…。

 

最初にこの作品を知った時に予想した
「推しの犯罪を非難する監督が推しの犯罪を擁護するファンにインタビューに行く映画かな?」ってことは全く外れてて

途中でそのインタビューに行くことを断念するエピソードがあります。

名前出して顔出しで率直に語ってくれることの方が大事だと。

私は推しを擁護するインタビューも見てみたかったなって思うけど
監督は途中で「これは私と私の友達で完結する物語」「私の中にも推しを擁護する気持ちはある」ってなって
完全に自分自身を総括する内容に全振りしていました。

私は見てよかったし、面白かったです!


ただ、これはドキュメンタリーなので明確なメッセージやストーリーはなくて
「だからなに?」「オチは?」って人には向かない作品だと思います。

一応ちゃんとオチはあるけどね!

イヌ科をあいする全人類読んでくれー!「キツネを飼いならす: 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語」

「キツネを飼いならす: 知られざる生物学者と驚くべき家畜化実験の物語」

 


何かのおすすめで知った本なのですが
有名なソ連/ロシアで行われているきつねの家畜化実験の当事者による一般向けの書籍です。

ドミトリー・ベリャーエフが始めたこの長い実験をリュドミラ・トルートが引継ぎ
現在ではロシアの科学者だけではなく、世界中の科学者によって遺伝子の解析や分析が進められ素晴らしい成果を出しているこの研究の
始まりから現在までの過程を楽しいことも厳しいこともお金に困ったことも政争に巻き込まれたり助けられたり…読んでいて退屈な時間は一ミリもありませんでした。

元はロシア語で書かれている本なのだと思いますが
大変に訳がよく…!
遺伝学や動物行動学に知見がない私でも、ちょいちょい詰まりつつも楽しく読むことができました。

遺伝の発現は遺伝子だけで決まるものではなく
親の特性、ストレスホルモン、環境因子…

従順な特性を持つきつねは大人になるのが遅く、見た目が幼く、普通きつねなら子供の時にしかしない遊びを大人になってもする…

そういえば人間は自らを家畜化した的なやつなんかで読んだな…

従順性をよしと刷り込まれた文化圏の人間てその要素強くなったりしない…?

たとえば

儒教とか…

奴隷制とか…

どうですかね…?

なんてことが読んでてお脳をちらつきました。

 

アイ,トーニャの感想

 

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(字幕版)

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(字幕版)

  • 発売日: 2018/11/21
  • メディア: Prime Video
 

 アイ,トーニャをネトフリで見ました

 

フェイクドキュメンタリータッチで最近よくある第4の壁を乗り越えてくるやつもフェイク感がよかったです。

実際のトーニャとは差異があるとも聞くんですがすごくマーゴット・ロビーの演技がよくて、わかりにくい魅力・わかりにくいストーリーをひっぱってく原動力になってるなって思いました。

エモいお話にもできる素材だけどドライでバツバツと断片的な作りで終始「本当?嘘?どっち」な雰囲気も好き。

特に最後のシーン・最後のセリフにはすごく心つかまれました。

良いハッタリだと思う。

パラサイト~半地下の家族~


第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編

 

「パラサイト」見てきました
やばいめっちゃ面白かった!
クライマックスむちゃくちゃ笑いました☺しゅごいよ!

やったーやったぞ!
私もそいつにそうしたいと思ってました😃
っていうのやっぱ好きです

っていう楽しい娯楽ムービー感と

貧乏家族の下品なズルさも
金持ち家族の上品なクソと
非情な格差の描写とが本当に素晴らしくて…!

宇多丸氏も言ってるけど
ジャンルが何かわかんない感じがすごくよかった。

韓国映画はソリッドなお話でもなぜだか
ウェットな終わり方をすることが多いなって
思ってるんですけど
ポン・ジュノ監督はいつもそうじゃなくて…
でも今回はわりとウェットな終わり方なのかなって思いました。

あとですね

オタクイベントで臭い人がいても
嫌味を言うのは絶対にやめようって思いました。
命が惜しい…