川泉ポメ@映画感想日記

川泉ポメの日記。映画や本の感想を描く用のブログ

JOKER感想です

「JOKER」見てきましたので感想です。
字幕2Dで見ました

ネタバレ…というほどでもないけど見てない人は注意です。

 

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penny & Arthur

 👆ベタなネタだから既出だと思うけど描きたかったので描きました。

 


噂にたがわず、めっちゃ面白かったです!

ネタバレって書いたけど
たぶん、未見の人が想像する通りのストーリー…なんです。
でも、そのありふれたお話が素晴らしい構成と演技と最悪なギャグとレトロでカッコイイ音楽で満たされていて、映画体験としては本当に最高レベルの一本だと思います。

音楽の使い方、絵作りの美しさ、衣装、美術…そして役者陣の演技・役作りの的確さ。

前半の断崖のような階段。
後半のスポットの当たったダンスフロアのような階段。

裕福な紳士淑女が着飾った様子の鈍重な醜さ。
終盤の民衆が町で略奪や破壊に高じる美しさ。

とても美しく、見どころのある映画だと思います。
人生に不満を覚える人にとっては福音に見えるかもしれない…けど、今の自己責任全開の現代の私の暮らしてる世界では絵に描いた福音じゃんね…とも思いました。


既出ですけど
絵作りや音楽の雰囲気からレクイエム・フォー・ドリームを想起するし
先週見たキング・オブ・オメディからは直でのレスともいえる表現もあるし

あとハングオーバーの匂いがしますね…やっぱり。

タクシードライバー的ともいわれるけど私はあんまりそうは感じなかったな…。


私の好きな感想これです↓

https://anond.hatelabo.jp/20191023190242


あと全然関係ないけど異常な母息子関係としては
母なる証明もちょっと連想しました。

どこまでがアーサーの妄想でどこからがペニーの妄想なのか
どこからがアーサーの嘘でどこからがトーマスの嘘で
全部が妄想で作り話なのか…

迷宮に迷い込むような映画でした。

キング・オブ・コメデイ

アマプラでキング・オブ・コメデイ見ました。
ジョーカー見る前に予習した方がよいとSNSでみかけたので。

小綺麗で清潔でスレンダーで魅力的な見た目のストーカーでもこんなに怖い…

評価の別れるラストだけどどっちでもいいかな。


あとパプキンがジェリーの事務所でテープを持ってねばるところは
「もしかして新作を持ち込みに出版社にいく私って、編集さんからこんな風に見えてるんじゃないか?」って
不安になりましたね…
つらい…

未来を花束にして

 

未来を花束にして(字幕版)

未来を花束にして(字幕版)

 

 サフラジェット運動を描いた作品です。これもネトフリで見ました。

イギリスの婦人参政権運動を描いた作品なんですけどまず画面作りがすごく良くて、重くどんよりとした空気の中で光影を強調してて陰影が美しくて、スパイ映画みたいにかっこよかったです。

主人公は夫を愛し息子を溺愛する若い母親だけどその人生はクソクソ所長からの性虐待やセクハラに満ちてて、彼女の母親の人生もそうで…でも娘世代までこんな目に合わされるのおかしいだろ!!!絶対変える!ってなって参政権運動にのめりこんでいく姿は、…私も自分より若い世代の女の子が性差別や性的な虐待にあうの我慢できない!わかる!って思いました。

主題である、過激な抗議活動は当時のサフラジェット運動家の中でも賛否があったことらしいんですが、その賛否の分かれる過激な破壊活動をしても鼻であしらわれて、結局死人が出るまで改正はなされなかったことを考えると、死人がたくさん出ても変わらない法律が世の中にたくさんある中で結果を出せたのは奇跡だなぁって。。。

 

見てる時、黒人の公民権運動の映画と相似形になるように作ってるのかなって思ったんですけどどうでしょうか?

黒いコート、黒い服を着た女性たちが通りを歩く感じとか。

 

でもイギリスで女性が男性並みの参政権を得るのは1928年だそうで、まだ100年も経ってないんですよね。

 

私は生まれた時からその権利を手にできてるので本当に恵まれてる…選挙行くぞ!って思いました。

ぼくらを見る目

ボクらを見る目…ネトフリで見ました。

この事件は知らなかったんですけど有名な冤罪事件なんですね。

白人女性を強姦致傷した疑いで5人の黒人少年たちが有罪判決を受けて…警察の横暴や横暴や横暴がとにかく横暴で、ムショは基本地獄で、でもシャバも地獄で。。。

 

タイトル通り「女性をレイプした」とされた(冤罪事件)少年たちをみる女性たちの目の冷たさ、リンチしようと待ち構えるナチかぶれたちのニヤニヤした目つき、あと看守のクソい目つき…役者さんてすごいです。

 

でも数年後に別の黒人少年が事件を告白し、彼らは名誉回復するけど失われた年月は戻ってこない。

 

でも世間の女性が強姦で有罪になった人を冷たい目で見るのはしょうがないことだと思うんですよね…私自身、世間の性犯罪者に対してたぶん冷たい目で見てるし。

なので…性犯罪で有罪判決を受けた人に対してどう接するかというのは難しいことです…再犯率の高い種類の犯罪だし…どれが冤罪でどれが冤罪じゃないかなんて私たちにはわからない…。(多分本物のレイプ魔も「冤罪だ!」っていう)

 

もっと人種差別についての視点で見るべきなんだろうけど冤罪…真犯人の告白…警察の横暴…それらについて人々がとるべき立場とは?!って考えると、うーん…としか言えなくて…

****************

ドラマは思っていた以上にポエトリーで音楽たくさんで幻想的な絵作りで、しんどい題材ながら最後まで止まることなく見れました!

あとドナルド・トランプの人はまじまじで炎上がお好きなんですね…

 

I Am the Central Park Jogger: A Story of Hope and Possibility (English Edition)

I Am the Central Park Jogger: A Story of Hope and Possibility (English Edition)

 

 これは被害者の方の手記みたい。

 

ミス・シェパード

 

 これもネトフリで見ました。

イギリスのお金持ちっぽい住宅街で汚いワゴンに住む不潔で偏屈なおばあさんにまつわるお話で

セレブも出てこなければ若くてルックスのいい役者さんが出てくるわけでもなく、アクションも、華やかな恋愛劇もないのにそれでも十分に楽しくて面白くて泣けたり意地悪だったりしながらも

ちゃんと物語としての着地もあるすごいお話でした!

お話の構成や撮り方も素晴らしいんですけど

役者さんの演技がすごく良くて、ダウントンアビーのおばあさんのひとがタイトルロールを演じてるんですけど表情の変化が素晴らしくて

老齢になってもこんなすごい表現ができるなんて本当にすごいって思いました。

アラン役のアレックス・ジェンングも素晴らしくて…!

あとライティングが人物はちゃんと明るく映るのに家や車内は自然な暗さがあってよかったです。イギリス映画は独特の家屋の暗さが映画では映えますね。

何となく見た作品だったけどすごくよかった!

サウルの息子

 

サウルの息子(字幕版)

サウルの息子(字幕版)

 

 アウシュビッツ強制収容所でゾンダーコマンドとしてユダヤ人を虐殺する手伝いをさせられるユダヤ人が主人公で、主人公は殺された息子をどうにか埋葬しようと手を尽くすが…。

 

ネトフリで見たこともあって画面サイズやボケは気になりませんでした。

逆に普通の画面サイズ、カメラワーク…で作られたならたぶんここまで主人公の内面に迫った作品にはなってなかったと思います。

 

絵的にはえぐえぐのえぐで

ナチスって本当にシステマチックで合理的な手段でユダヤ人を騙して殺して燃やして灰を川に流して…とっても怖かったです。

合理的っていうのは必ずしも善ではないなってつくづく思いました。

 

賛否分かれる主人公の言動ですけど

息子をユダヤ教のラビによる正式な祈祷で息子を埋葬したい…というのは父親としては当然の希望であり非難されることではないはずなんだけど

でもそれをわがままで自分勝手なことに感じてしまう自分が嫌だなーって感じたり。

ラストシーンの意味が分かんなかったけどいくつか批評サイト見たけど、これからはあの少年が歴史の目撃者となる…って意味なのかなって思いました。

(だからカメラが主人公から離れて少年についていく)

 

とってもおすすめな映画です。